2022/07/01(金)
株式会社ミライ・トラスト
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日配品とは?日配品と食品ロス削減の関わりについて



2015年秋の国連サミットにおいて全会一致で採択された、国際社会全体が取り組む目標であるSDGsにおいて、169あるターゲットの一つとして定められたことや、2019年10月に施行された食品ロス削減推進法などによって昨今メディアでも見聞きすることが増えた「食品ロス」

今回はスーパーマーケット、ドラッグストア、コンビニエンスストアなどの小売店で幅広く取り扱われている日配品を中心とした食品ロス削減に向けた取り組みや考えについて確認していきます。

食品ロスの概要とその具体的な問題点とは?

食品ロスとは、本来食べられるはずの食品がさまざまな理由で捨てられてしまうことを指します。
コンビニで売れ残ったお弁当や飲食店で客が食べ残した料理、家庭で賞味期限が切れた食材などが捨てられることを総称して食品ロスと言われます。

令和4年2月農林水産省発表の資料によると、廃棄物処理法における食品廃棄物は
【食品関連事業者】:309万トン
【一般家庭】261万トン
と計算されており、合計で全体の食品ロスは570万トンと言われています。

これは世界全体が援助している食料の約2倍に相当し、一般廃棄物処理費用は年間2兆円にも及ぶとも言われています。
廃棄物処理に関わる環境負荷も勿論のこと、経済的にも非合理的な現状ということは説明するまでもありません。

日配品とは

日配品とは、メーカーで製造され毎日スーパーマーケットやドラッグストア、コンビニエンスストアなどの小売店に配送される「日持ちしない加工食品」を指します。また、保管に冷蔵を必要とするものが多いのも特徴の一つです。
「毎日店舗に配送される加工食品」を略して日配品と呼ばれるようになったと言われており、デイリー食品、デイリーフーズなどと呼ばれることもあります。

日配品は単価が安い一方、発注作業や入荷後の検品作業が日々発生します。
また、日配品は天候や時期によって販売数が大きく変化するため、発注者には経験やノウハウが必要不可欠となっており、日配品業務を負担軽減や発注精度の向上による食品ロスの削減等の問題解決のために、POSを始めとした販売管理システムを導入する事例も少なくありません。

日配品に分類される商品

スーパーマーケット、ドラッグストア、コンビニエンスストアなどの小売店で幅広く取り扱われている日配品ですが、その店舗や企業により対象となる商品に若干の違いが見られる場合があります。これには厳密な定義づけは為されていませんが、大まかにどの店舗・企業においても共通点として以下の内容が当てはまる商品であることが多いです。

  • ・メーカーによって製造されること
  • ・冷蔵を要すること
  • ・あまり日持ちがしないこと

日配品の種類

こちらも店舗によって構成は異なりますが一般的に日配品として扱われている商品としては概ね下記のように分類されます。

  • 水物:豆腐・納豆・こんにゃく・油揚げ
  • 水産練製品:はんぺん・ちくわ・かまぼこ
  • 漬物:梅干し・キムチ
  • 生麺:要冷蔵の麺類
  • チルド食品:餃子・要冷蔵のピザ
  • 牛乳:加工乳・乳飲料
  • チルド飲料:パック飲料・要冷蔵飲料(ストロー付きのコーヒー等)
  • 乳製品:バター・マーガリン・チーズ
  • チルドデザート:プリン・要冷蔵のゼリー・ヨーグルト
  • 生菓子:ロールケーキ・まるごとバナナのような要冷蔵のスイーツ

またスーパーによっては下記のものも日配品に含まれることもあります。

  • 畜産加工品:ハム・ソーセージ・ベーコン
  • 卵:生卵
  • パン:食パン・菓子パン・和菓子
  • 冷凍食品:冷凍野菜・お弁当冷食・アイスクリーム
  • パック入野菜:もやし・カット野菜・野

基本的に「冷蔵を要するもの」とされていますが、パンや一部の生菓子、水産練製品の一部など、必ずしも冷蔵を要さないものも含まれます。
また、豆腐や納豆、漬物などの和風食品を「和日配」、パンや乳製品など洋風食品を「洋日配」と区分することもあります。なお、常温で保管しても日持ちのいい食品や、酒類やジュースなどの飲料については日配品ではなくグロサリー商品に分類されることが多いです。

日配品の販売期間延長による食品ロス削減の取り組み

ここまでで食品ロスの概要とその問題点、そしてスーパーマーケット等の小売店における日配品とは何かという部分について大まかに確認をしてきました。ここで食品スーパーにおける食品ロス削減へ向けた具体的な取り組みについてひとつ紹介していきます。

京都市では、平成29年度に食品スーパーの協力を得て、食品ロス削減効果の検証のための調査・社会実験を実施しています。取り組み具体的な内容としては以下のようなものです。

  • ・牛乳、ヨーグルト、かまぼこ、豆腐、パンなど日配品を対象に、賞味期限いっぱいまで商品の販売期間を延長し、廃棄数量の変動を調査
  • ・賞味期限・消費期限が迫った見切り商品の購入を促す啓発による食品ロス削減効果の検証

これらの実証実験の成果としては、前年同時期と比べ、対象品目全体(15品目)の廃棄数量が減少し、約10%の廃棄抑制効果を確認し、青果、惣菜、パンの3部門とも廃棄率、廃棄個数が改善、3部門合計での来店者1,000人当たりの廃棄個数は約6割減少したというものになっております。
また、その後行われた市民の意識調査においては「販売期限の延長により食品ロス削減に取り組むことは良いこと」との賛成意見が9割以上となっており、店舗の鮮度イメージを損なう様子は見られなかった模様です。
業界の商慣習や消費者の賞味期限意識に訴求することで、食品ロスを軽減できる可能性をこの実証実験からも見て取れるかと思います。

*参考:https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss/case/pdf/case_181029_0002.pdf

食品業界に根深く残る商慣習と消費者意識

前述の通り、日配品の販売期間を延長によりスーパー・消費者のお互いにとって多くのメリットがあることが見てとれましたが、実際日配品の販売期間を延長し、このメリットを実現していくことは容易ではありません。

事業者単位で見れば、システム構築に関わる費用、システム導入後それを組織に浸透させるためのパワー。
前述の実証実験に関する調査に寄せられた意見として、取組を進めていくに当たっては、「適切な値引き」と「行政や事業者からの積極的な情報発信」などが必要との意見が多数寄せられており、そのハンドリングや消費者意識に訴求するための広告コストなど、見える面・見えない面の両面で運営に要する費用負担が何よりもの課題となります。

また、食品業界では賞味期間の3分の1以内の期間内で小売店に納品するいわゆる「3分の1ルール」などの慣習や、消費者の過剰な賞味期限意識などが食品ロスを生む要因のひとつとなっています。
食品ロスの問題が浮き彫りとなり身近な問題となってきた今、メーカー・小売店・消費者のそれぞれが考え、一丸となってこの問題に対処していく必要があるかと思います。

我々といたしましても、システムの開発を通した間接的な携わり方となりますが、この問題の解決向けてに微力ながらでも貢献していければと思っております。


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