2023/03/26(日)
株式会社ミライ・トラスト
ブログ

新社会人に贈る!スーパーマーケット業界で生き残るための7つの基本計数



スーパーマーケットで働き始めたら、突然聞き慣れない言葉が飛び交って驚かれたのではないでしょうか。

例えば、売上、値入、在庫、売上原価、粗利、経費、営業利益など、店舗運営に必要不可欠な計数関連の用語には頭を抱えてしまうものです。

今回は、新たにスーパーで働き始めた新社会人の皆さんに向けて、店舗運営の理解や営業活動の分析をスムーズに行うための基礎知識をお伝えしていきます。

新卒の方のみならず、全てのサラリーマンにとって重要な考え方であるため、しっかりとマスターし、日々の業務に役立てていきましょう。

この記事では、以下の計数の概要、計算式、関係性をそれぞれ説明していきます。

・売上
・値入
・在庫
・売上原価
・粗利(売上総利益)
・経費
・営業利益

各計数の概要と計算式


売上

売上とは、商品やサービスを顧客に販売した際の代金の合計額のことであり、計算式としては以下の通りです。

売上
客数×客単価

スーパーにとって、というより全ての会社にとって売上を増やすことは、言うまでもなく重要なことです。

売上が客数と客単価により出来ているということは、売上を増やすには客数を増やすか客単価を上げるかの二択になります。

客数を増やすのであれば

・新規顧客開拓のために販促活動注力する
・既存客の来店回数を上げるために時間帯に応じた目玉商品を陳列する
・セールを実施する

客単価を上げるのであれば、商品の売価に含まれる店舗側の利幅を上げる必要がありますが、単純に利益を上乗せするのでは商品価格が上がってしまい、他店との価格競争に負けてしまう可能性があるため

・商品または材料の仕入値を下げる
・インストア加工を行なっている店舗であれば製造工程を見直す

など抜本的な見直しを講じる必要があります。

このように一口に「売上を増やす」と言っても、取るべき行動指針は「客数」と「客単価」それぞれの軸により大きく異なります。

値入(値入高・値入率)

値入れとは、商品の販売前に売価を決定することを表します。

・「仕入れた商品にいくらの利益を上乗せするか決めること」を「値入れ」
・そうして決まった売価に占める利益の割合を「値入れ率」
・売価と原価の差額 = 上乗せした利幅のことを「値入れ高」

とそれぞれ呼ばれており、計算式は次に示す通りです。

値入高
売価-仕入

値入率
(売価 - 仕入) ÷ 売価 × 100%

値入れ高はもちろん商品ごとに異なるので

・値入れ高が大きい = 儲けが大きい
・値入れ高が小さい = 儲けが小さい

ことを示し、これらを組み合わせて利益を最大化するために行うのが「販売計画」です。

在庫

バックヤードにあるもの、売り場に残っている商品を指します。

在庫には月一の棚卸作業があり、

・前月の棚卸在庫を「期首在庫」
・今月の棚卸在庫を「期末在庫」

と呼びます。

棚卸は在庫金額の確認作業で、在庫金額は利益計算に必要な数字となるため非常に重要な作業です。

売上原価

売上原価とは、商品を仕入れ、販売する際にかかる原価のことで、商品が売れたタイミングで計上します。

つまり、商品を仕入れた際に支払った費用(仕入原価)に、輸送費、保管費、人件費などの販売にかかる費用を加えた総額が売上原価です。

ポイントとしては、商品が売れたタイミングで計上されるという点で、

これはつまり売れ残りの商品(=在庫)は売上原価には含まれないということを示します。

売上原価(販売にかかるコスト)が少なければ少ないほど、後述する**「粗利(売上総利益)」**は大きくなります。売上原価を求める計算式は次の通りです。

売上原価
(仕入 + 期首在庫) - 期末在庫

粗利(売上総利益)

粗利とは、売上から売上原価を差し引いた利益のことを示し、売上総利益とも呼ばれます。

また、この粗利額を売上で割った比率 = 売上に含まれる利益の割合を求めたものが「粗利率」です。計算式はそれぞれ以下の通りです。

粗利額
粗利額 = 売上 - 売上原価
粗利率
粗利率 = (粗利額 ÷ 売上) × 100%

粗利を上げる方法はいくつか考えられますが、前述の計数に関連した内容に限定すれば、以下のような営業努力が挙げられます。

  1. 売上高を増やす: 当然ではありますが、売上高が増えれば粗利も増えます。売上は前述の通り「客数×客単価」で構成されているため、売上高を増やすためには必然的に客数を増やす、または客単価を上げる必要があります。客数を上げるには販促に力を入れる、客単価を上げるには商品価格の見直しやまとめ買いの提案、店舗のレイアウトの見直しを行う必要があるでしょう。

  2. 原価を下げる: 売上高を増やすのではなく、原材料費や人件費、製造費用などの直接原価を下げることで、相対的に粗利を増やすことができます。原価、つまり仕入値を下げる方法としては、原材料の調達先を見直したり、製造プロセスの改善を行うことなどが考えられますが、これらは一朝一夕で行えることではないため、売上高を増やす営業努力とは違って長期的かつ抜本的な見直しが必要となるでしょう。

  3. 在庫管理を見直す: 在庫が長期間にわたって滞留することで、費用がかかり、粗利が減少することがあります。在庫の回転率を上げるために、製造・販売計画の見直しや在庫の把握、在庫品目の見直しなどが有効です。

経費

営業活動に掛かった費用のことを指します。
具体的には水道光熱費、チラシ・ポップなどの広告費、スタッフの人件費などが経費に当たります。

営業利益

営業利益とは、本業(商品を仕入れて販売するという営業活動)の儲けを表す指標です。

営業活動の結果生み出された利益である「粗利」から上記で挙げた諸経費を差し引いて残った利益のことで、計算式は以下の通りです。

営業利益
粗利 - 経費

まとめ

営業利益を多く上げるためには、粗利を上げて、経費を下げる必要があります。
粗利を多く上げるためには、売上高を増やす、仕入を下げる、在庫管理を見直して売上原価を下げる必要が・・・のように計数はそれぞれが密接に関係しており、最終的な利益確保のため、日々の営業活動の中でそれぞれの値を意識的に調整していく必要があります。

とはいえ個人が貢献できる範囲はいずれも限定的なものに限られます。

重要なのは、こうした計数感覚を早い段階で身につけ、

・現状の店舗の状況を自分なりに分析してみる
・分析結果から自分なりの仮説を講じてみる

という「自分の頭で考える」プロセスそのものであると考えています。

たとえこれらのノウハウが備わったシステムやサービスなどがあったとしても、こうした考え方の有無により、そのハンドリングの効果は通常の何倍にも膨らみます。

新卒のみならず、多くの従業員がこのような考え方を身につけ、実践していくことで少しずつ、着実に店舗・会社の業績は上がっていくでしょう。

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